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受け口について
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受け口について
   
受け口について 受け口について
受け口とは上の写真のように上顎の歯と下顎の歯が逆にかんでしまっている状態です。
への字口 しゃくれた顔
受け口は歯並びの問題だけではなく、 「への字口」「しゃくれた顔」「三日月顔」といった顔の形の問題につながるので
非常に気になることですよね。
   
私自身が受け口なんです
   
正面
私は「受け口」については神経質です。
側面
自分が写真のように顎が出ている顔つきをしているからです。
前歯部
今ではもう自分の中で受け入れていますが、
歯学生の頃は外科手術も考えるくらいに悩んでいました。
   
私の長男の受け口でした
   
遺伝する受け口
受け口は遺伝することが多いのです。
長男が生れて、歯が生え始める時に「遺伝してくれるな!!」とばかりに いつも注意深く見ていたものでした。
悲しいことに長男には遺伝していて、見事な受け口になってしまいました。
反対咬合の人の顔つき
3才くらいになると、 鼻の下が少しくぼんでいて、顎がしゃくれていて、横から見ると三日月顔の 典型的な反対咬合の人の顔つきになってしまいました。
   
長男治療をしました
   
治療前
「このままいけば私のような顔になってしまう」と考えた私は、 4才の終わりに長男の矯正を始めました。
最初の半年間は寝ている間だけの治療を行いました。
マウスピースを口に入れてそれと同時に、チンキャップという顎を引っ張る帽子も使いました。
これらの治療でだいたい治ってしまいましたが、更に治療効果をたかめるために24時間付けっぱなしの、ワイヤーの治療もおこないまいた。
ワイヤー治療も約半年位で終わりました。
合計約一年間の治療でしたが受け口は見事に治ってしまいました。
治療後
   
永久歯は・・・
   
左斜め正面全歯部
これらの治療はあくまで乳歯に対する治療だったので、 「永久歯がはえてくる時に再び受け口になるのではないか」とずい分と心配しましたが、 嬉しいことに永久歯はきれいにはえてきて 受け口にはなりませんでした。
三日月のようなしゃくれ顔も治った様子
一番心配していた三日月のようなしゃくれ顔も治ってしまいました。
現在小学4年生ですが、 歯並びにおいても、顔つきにおいても 十分に安心できる状態で成長してくれています。
 
長男の反応
マウスピース
結局一年間くらいの治療でしたが、長男の反応は私の予想に反するものでした。
「おそらくものすごく嫌がるだろうな」と思っていたのですが、 ほぼ全ての装置を嫌がる事はなかったです。
マウスピースは最初の慣れないうちは、 朝起きたら枕元に転がっているという感じでしたが、 段々と朝まで付けれるようになりました。
帽子着用
夏場の帽子は汗で蒸れてゴムと皮膚が当たるところを痒がっていましたが、それでも結局は朝まで普通に寝ていました。  
気持ちの上でも「イヤイヤやる」という感じではなく、「ボク、前歯がひっくりかえっとうけん、これするとよね。 パパみたいに顎が出たらいかんもんね」
という言葉が出るくらい、5才なりに前向きなモチベーションを持っていました。
ワイヤー装着
ワイヤーについても嫌がるだろうなと思っていました。
それまでは寝るときだけつけていればよかったのに、今度は一日中ついていて、なおかつ他人の目に分かる訳ですから。
親の立場からすると我が子がものすごく不憫に思えて、すごく悲しい気持ちいなりましたが、 当の本人は意外にも、
「これダイヤモンドみたいやね、カッコイイ。友達に見せろう」
と明るい感情を持ってくれました。
この様に書くと私の長男はすごく聞き訳が良くて、素直な子のように思えますが、 実はすごく神経質で癇癪持ちな性格をしているのです。 ですので私は、

「こいつでこれだけ出来るなら、これはどの患者さんでも絶対できるな」

と思ったものでした。
 
   
私の考え方  
このような私自身の顔つき、そして長男の治療の経験をから、 私は子どもの受け口は早期に治してあげて、 なるべく顎がしゃくれた三日月顔にならないような成長方向に乗せてあげたいと考えています。
一人の親としても、また歯医者としてもそう思っています。
   
お父さん、お母さんの悩み  
現実には近くの歯医者さんで相談したら、

「今はまだ、様子を見ていて良い」
「永久歯になってからやったほうが良い」
「将来手術を考えた方が良い」

と言われてこともある方も多くいらっしゃるようです。
その反面、私のように「早期に治療に入ったほうが良い」という歯医者もいます。 また、

「顎を手で押してたら良い」
「アイスクリームのへらでおしたら治った」
「乳歯のうちから治療をしていた方が良い」
「顎を押さえる帽子をかぶって寝たほうがいい、よくない」
「結局手術になるので、成長が終わるまで様子をみたほうがいい」

など、子育てママのネットワークでの様々な噂や経験談も色々とあるようです。
加えて、インターネット上での豊富な情報もあいまって、

「いったいどうすればいいの?」

と 真剣に悩まれているお父さん、お母さんが多くいらっしゃいます。
いったいどうすればいいの?
   
なぜは医者によって考え方が違うのか?  
受け口の治療のスタート時期の解釈は歯医者の中でも大きく異なっていて それについてディスカッションする歯医者の意見を集めたものが、 厚い本になっている位なんです。
これには大きく理由が二つあります。 一つ目の理由

これは簡単です。

「自然に治ってしまうことがあるから」です。
乳歯の受け口は永久歯にはえかわる時に勝手に治ってしまうことがあるのです。
実際、下の写真の受け口の患者さんは永久歯との生え変わりの時に自然と治ってしまいました。
乳歯永久歯
この可能性に重きを置いた場合はやはり「様子を見てみましょう」という言葉が歯医者から出てきます。
実際私もそうすることもあります。
二つ目の理由

これは少し難しいですが・・・

「早くに治してしまっても、後で再び受け口になることがあるから」です。

いくら早期に矯正をしても、身長が伸びるのと同じタイミングで 下顎の骨が大きくなり、きれいに咬んでいた前歯が再び逆さまになることがあるのです。
治療前 治療後 1年後
治療前 治療後 1年後
写真の患者さんがそうです。
女性で小学生の高学年で大きく身長が伸びるタイプの成長をする子でした。
11歳までに一度受け口を治療しました。
11歳の時点ではきれいに治っていますが、ここからの1年間の成長とともに 再び受け口に戻っている傾向が分かると思います。
 
   
では実際どうすればいいのか?  
この二つの理由から、受け口の治療は色々な先生が色々な考え方に基づいて行っています。
ですので、私は少なくとも二つ、出来れば三つの歯医者さんに行って 「この先生の言ってること、考え方が一番自分に合っている」と思えるところで、 治療を受けるべきだと思います。
特に骨格の問題に間で及ぶような症状の場合、成長期が終わる18歳くらいまでの長いお付き合いになることもあります。
「この先生とじっくり治していきたい」と思えるような先生と出会えるといいですね。
 
にこにこ小児歯科の対応  
私は受け口の治療のことを「可能性の治療」と説明しています。
 
2・3才 現在
 
乳歯の受け口の場合、

「ほっておいても、生え変わりの時に治ってしまうかも知れないけど、
今から始めれば将来永久歯が生えたとき、正しく生える可能性が高くなる」


永久歯の場合

「今治しても、残念ながら将来顎が出てきて手術による治療が必要かも知れないが、 手術の可能性を低くする為に今出来るだけのことをやっておく」

このような考え方です。

当たり前の話ですが、
一人の患者さんで早期に治療をした場合と治療をせずに経過を見た場合の違いを比較することは出来ません。

私の長男のように早期に治療をして治った場合では 「もしかすると、何もしないでも、この様に治ったのかもしれない」とも思えますし 今の私のように、何も治療をせずに経過を観察して、結局顎が大きくなった場合では、

「もしかすると、早くに手を打っておけば、この様にならなかったかもしれない」

とも思えます。
つまり成長の中で治療を行っていくわけなのですから、 どうしても「こうしてたら」「ああしてれば」といった「たら、れば」的な曖昧な感覚が付きまとうわけです。
このような曖昧な要素がある事も理解したうえでそれでも私は、

「早期に対応してあげて、よい成長方向に乗ってくれる可能性を高くしてあげたい」

と考えます。
実際、私の長男の2才、3才、の頃の写真と今の写真を見比べてください。
鼻の下の上顎のふくらみ具合、下あごのしゃくれ具合が全然違います。
治療前1 治療前2 治療3
2・3才
 
治療後1 治療後2 治療後3
現在
「何もしないでも、こうなったかもしれない」
「確かに今はいいけど、結局は成長期で顎が出てきて手術が必要になるのでは?」

このような意見が出ても、何の反論も出来ません。

しかし、私は歯科医師として、

「治療をしたからこそ、歯並びがきれいになったし、お顔の形もよくなった。
確かに成長期で顎が出てくる可能性はあるけれども、 早期に治療をすることによってその可能性は絶対に小さくなっている」

と確信しています。
そしてこの私の確信に対しても、 完全に反論する事が出来ないというのもまた一つの事実なのです。

そして、私は一人の父親としては、

「たとえ、今から顎が出てきたとしても、やっぱりやってて良かった。
完全に反対だった前歯の歯並びも治ったし、しゃくれ顔がかわいい顔になったから」

とホッとしています。
       
実際、私の長男以外でもにこにこ小児歯科では 多くの子供たちが早期に受け口の治療をしています。
 
治療前

実際、私の長男以外でもにこにこ小児歯科では多くの子供たちが早期に受け口の治療をしています。
歯並びがきれいになるのはもちろんの事、

「お顔の形がきれいになった、久しぶりに会ったお婆ちゃんが言ってくれました」

と喜びの声を聞くことも多いのです。

治療後
 
治療前
この様に私自身の父親としての実体験や、 患者さんの治療後の変化を見て 早期に対応して、良い成長方向に乗せてあげることの長所に大きな魅力を感じています。
治療後
   
舌(した)=ベロについて
   
上の前歯と下の前歯がひっくり返っている
左の写真の子は前歯が曲がっています。
そして上の前歯と下の前歯がひっくり返ってしまいました。
ではなぜこのような状態になるのでしょう?
歯は「自分はここに生えよう」という意思を持って生えてくるのではありません。
脳から「ここに曲がって生えなさい」と指令を受けるわけでもありません。

歯は生えてきた後に舌や唇の筋肉などから色々と力を受けます。
そして、それらの力がつり合ったところに並びます。
色々な筋肉からの影響を受けるのですが、 とりわけ舌(べろ)の筋肉からの影響が大きいのです。

つまり歯並びを決める主役は舌(べろ)なのです。
いわばお口のご主人様は舌(べろ)で、お口はご主人様の家だと考えることができます。
舌筋断面図
舌(べろ)について私達は、
ついその役割や力を過小評価してしまいます。
舌(べろ)は実は筋肉のかたまりで、お口の中でかなりの部分を占めています。
次の解剖の図を見ると、 その大きさがよく理解できると思います。
   
   
三日月顔
受け口の場合も舌(べろ)の話が非常に重要です。
正常なかみ合わせの場合、呼吸をしている時や物を飲み込む時に、 舌(べろ)が上顎にしっかりとついています。
しかし受け口の人の場合は舌(べろ)が写真のように下あごの歯の中にすっぽりとおさまっています。
時には舌(べろ)に下あごの前歯の跡がくっきりとついている人などもいる程
なのです。 つまり、本来であれば舌(べろ)は口の中で上のほうに向かっていくべきなのです。
その結果上顎の骨がしっかりと成長して、鼻の下の部分もしっかり盛り上がりきれいなお顔に成長できます。
しかし、受け口の場合上ではなく下に向かいます。
これだと上顎の骨の成長が乏しくなります。
特に鼻の下の上唇の部分の前方方向への成長が小さくなります。
その為、上唇部分が引っ込んだような、特徴的な三日月顔になってしまうのです。
上唇部分が引っ込んだ顔
   
よくお母様が

「うちの子って、わざと下あごをアイーンと前に出すような動きをするんです。
その時に、『そうしないようにしなさい』と言って、『下あごを手で押しなさい』と言うんです。」

とおっしゃいます。

確かに気持ちはわかりますが、

「原因は知らず知らずのうちに下の方に向かってしまっている舌(べろ)なのですから、
『わざと』と言ってもしょうがないし、手で押してもあまり意味はないですよ」

とよく説明します。
   
ホントに口を閉じさせていいのでしょうか?
よくお母さんが

「いつも口を開けてるので、口を閉じるように言ってるんです。」

とおっしゃいます。

口が開いていると絶対に上のほうには向かいません。
写真のように舌(べろ)は見えていて、必ず下あごの中におさまって 舌のほうにむかっています。
この状態が受け口にとって悪いという事は先ほどの話でもありました。
ですので口はやはり閉じていた方が良いのです。
しかし、「正しく閉じる」という条件つけなのです。

正しく閉じるという事はどういう事でしょう?
筋肉がバランスよく緊張している状態

写真のように閉じた唇の線が地面に対して平行で、上下の唇の周りの筋肉がバランスよく緊張している状態です。
唇の線が「への字」の状態
一方受け口の人は写真のように閉じた唇の線が「への字」になります。
そして下あごの部分にしわしわの筋肉の緊張を作るのが特徴的です。
我々はこれを「ウメボシ」とよく言うんですよ。
ウメボシの部分の筋肉はオトガイ筋と言って、受け口の人は このオトガイ筋の力が強い人が多いのです。
強いオトガイ筋で下唇が上唇に強く押し当てられるため、 上唇があまり下のほうに落ちてきていません。
その為上としたのバランスが悪くなり、への字口になるのです。
   
ガムをまっすぐに維持できない状態
写真のようなガムを唇でホールドしてみて、ガムをまっすぐに維持できない人はオトガイ筋が強すぎという事になります。
唇の周りの筋肉が不自然に緊張していて、ガムを垂直に立ててじっとしておくことができません。
ガムと唇の間に隙間があるのも特徴的です。


口を閉じてもそれを「正しく」しないと、オトガイ筋を強く使った悪い閉じ方の、 練習をしていることになります。
「への字口」が更に強くなります。注意が必要です。
ガムをまっすぐに維持できない状態
 
ガムは垂直に立っている状態
正しく閉じている場合、左の写真のように唇の周りに余分な力がかかることが、 ありません。
ガムは垂直に立っています。
お口をこの様に閉じれるようになるといいですね。
   
治療の実際
   
ジャンピングプレート
治療は乳歯の時と永久歯の時では大きく違います。
乳歯のとき 最初は主に舌(べろ)の動きに対してアタックしていきます。
昼間は写真のようにジャンピングプレートを入れて舌(べろ)の動きがよくなる為のスペースを確保し、これで食事もしてもらいます。
舌(べろ)の筋力あっぷになります。
詳しくは「歯を抜かない矯正」のページの部分をご覧下さい。
ジャンピングプレートを入れた状態
   
ムーシールド
夜は写真のようなムーシールドという装置を使います。
これは下に向かう舌(べろ)を上の方向に向かわせるための装置です。
舌(べろ)の下を装置が覆うので、装着すると自然と舌(べろ)が上顎に向かうような
構造になっています。
加えて上顎の歯や歯肉の前面を装置が覆っているので、外から上顎を押さえ込もうとする唇や口の周りの筋肉が、上顎に掛かるのを防いでくれます。
その結果上顎は前の方向に成長しやすくなるのです。
ムーシールドをくわえた状態
   
写真はこれらの治療を行った患者さんです。
治療前 治療前
治療後 治療後
歯並びとして受け口が治ったのも嬉しいですが、 「への字口」と「鼻の下がくぼんでいる」という典型的な受け口の顔がずい分よくなっているのが分かるとおもいます。
   
治療前治療後
永久歯の時 基本的にはジャンピングプレートを使ってまず、舌(べろ)のトレーニングをやることが多いです。上の写真のように永久歯になってからもこの方法だけで受け口が治ってしまう子もいます。
それ以降は写真の様に誰もが連想するようなワイヤーを使った治療を行っていきます。
治療中の写真は次のとおりです。
治療前ワイヤーを使った治療
このようなワイヤーの治療の期間は基本的には概ね2年から3年です。

受け口にも症状の重い、軽いというのがあります。
写真の患者さんや、私のような症例のように、下顎の骨自体が大きくて、それが原因で受け口になっている場合は重症です。
 
治療前 治療後 1年後
治療前 治療後 1年後
こういうタイプの受け口は骨格に問題がある場合が多く、この時は身長の伸びるのが終わるまでワイヤーの治療が続くこともあります。
また、私のように顎が大きくなってしまった症例などには、外科的に顎を小さくする手術を行う場合もあります。
 
まとめ
受け口といっても、年齢や、症状、遺伝的な要素の有無、 呼吸の仕方や、舌の使い方、などその症状や原因は子供たちのひとり一人で 全くと言っていいほど違います。

矯正でお母様たちが気になるのは、概ね以下の四点だと思います。
・ 治療のスタート時期
・ どのような装置を使うのか?
・ 治療の終わりはいつになるのか?
・ 費用はどのくらい掛かるのか?

しかし、これがすべてひとりひとり違うと言ってもよいのです。
特に「治療の終わりの時期」については、 確実に予言するのほとんど無理ともいえます。
年齢が低いこの場合、治療が長期化することが予測される場合、 転勤の有無なども、治療計画を立てるときの重要なポイントになったりします。

ですので、

「しっかり現状を診断してもらった上で、 その子にとって一番良い方法を考えてもらって欲しい」

私は心からそう思います。

色々な情報を一つ一つ吟味して どの時期に、どの先生とお付き合いしていくかを決めていきましょう。
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